あの大雪騒動から半月がたちました。
淡雪が降る今となっては、悪い夢をみていたようです。
樹氷の枝先がつくる緻密なレース模様を見上げて
……天災は地上ぜんぶにくまなく降りかかるんだよなあ、なんて
あたりまえのことを思い、遠い目になったりします。
(以下、今更ですがアーカイブ的回想。下のほうにオマケまんが有り)
なにしろ一夜にして1メートル越え。
その猛威たるや、愛犬が「生き埋めになった」友人宅が2軒。といっても庭先での話です。
翌朝、飼い主に無事掘り出された犬たちの姿は、ともに軟禁状態の私たちの束の間笑い話に。
彼らも朝起きてさぞびっくりしたでしょうね!
雪壁から解放されたのは自宅は3日目、草津の工房は(町外れということもあり)1週間目。
国道が丸二日間封鎖され、陸の孤島となった草津。
一時は町中からガソリンがなくなり、さらに除雪作業が難航したそうです。
国道が復旧して、工房に閉じ込められていたブッチーズ(ブチ犬親子)を助けに行ったシショー。
工房までは鼻まで埋まる深さ。前進しようにも埒があかず、
草津の町でレンタルスキーを借りて再トライ。
しかし1メートル越えの新雪にはストックも沈むばかり……
けっきょく脱いだスキーを手にはめて、溺れたあめんぼうのような格好でどうにか辿り着いたとのこと。
後日「おにいちゃん(お隣さんにシショーはこう呼ばれている)雪の中よつんばいですごかったよ」と
可笑しそうに話してくれたのは、お隣のおしどりSさん夫妻。
除雪車を待ちわびる中、窓の外を全力でもがきながら通過するがむしゃらな四つ足を
あっけにとられて見送ったお二人。想像したら、吹き出してしまいました。
「ここまで積もったら『かんじき』だな」
早速ホームセンターでブーツに簡易的に取り付けるタイプを買ってきて、快適快適♪と嬉しそうなシショー。
私は案外作れるのではないかと調べ出して、気がついたら「かんじきワールド」に夢中です。
「かんじき」っておもしろい!国内海外、風土によって千差万別。
形状や素材、サイズ、足への縛り方まで思わずナルホドな知恵満載!
ちなみに一番身近なもので簡単にできそうな「かんじき」はこちら→★。緊急時にいかがでしょ。
かんじきはスノーシューより小回りがきいて段差に適しているらしいですよ。
などと、にわかに私がかんじきをアツく語り始めれば、シショーも負けじと繰り出してきます。
カモシカの毛皮は防水防寒に優れている(だから乱獲された)、
ナントカの(失念)爪は雪がつかないからスパイクに最適……云々。
あげくに、そーだ昔Yさん(近所の山で隠遁生活している仙人みたいな方)に
「ホンモノのかんじき」もらったんだ、アレどこにしまったっけ……ですって。
持ってたのね(笑)早く出したまえ。
待望の雪上車。駆け寄って、コーヒーとお茶菓子をさしいれてお礼を言うと「なかなか来られなくて申し訳なかったね」と恐縮しながら丁寧にかいて下さった。ごついアームを器用に操ってみるみる道を切りひらいていくヒーローにほれぼれ。
↓オマケは開通直後のブッチーズ。雪壁に向かうハチとチズの性格の差がおもしろかった。子犬の頃から隙間に入ってしまったボールをウガウガ言いながら自力で奪取してくるのがチズ。ほふく前進するテーブルロールみたいなチビのガッツに感心したものです。片やハチ親父はクンクン鳴いて取ってくれとせがむ子でした。
(上の様子は2月22日のヒトコマ。現在の雪壁の高さは半分くらいになっています)
何日も早朝から夜中までほうぼうから聞こえた除雪車の轟音の頼もしさ。悪路を一軒一軒、徒歩で配達してくれた郵便屋さん。ようやく動き出しました、と汗をかきかき荷物を届けてくれた宅配便さん。雪かきを助けたり助けられたり。労いと近隣の情報交換。悪路ではちあわせた車同士、息の合った譲り合い。……非常事態でも殺伐とすることはなく、心和む場面がたくさんありました。感謝感謝です。大雪騒動が一段落した後、地元の整骨院は大繁盛だったそう。皆さん、おつかれさまでした!
春めいてきたことはありがたいけど、これからは落雪や溶けた雪の凍結に要注意ですね。
工房にいると時折そう遠くない山のほうから、ドドドドドドーーッと雪崩の地響きが聞こえてきます。
さて3月。おととい里に降りたシショーがフキノトウを摘んで来てくれました。
早春の苦みは、寒さにちぢこまった身体のデトックス。
まずは刻んで生湯葉(草津の豆腐屋の手づくり。美味!)+板わかめ、白味噌仕立てのおみおつけに。
しみじみ味わいつつも…飲みこんだ春にじんわり焦る。
たまった作業が雪壁のように立ちはだかっております。ウガウガウガー(チズのまね)
※教室などお問い合わせは「美土里の洞」0279(88)8383または090(2932)8419までよろしくお願いいたします。
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